この記事では、「水道民営化」についてポップで身近に知ってもらおうと思い、わかりやすく簡単に解説している内容になっていますので、さらっと読んでくれると嬉しいです( ´ ▽ ` )
日本の水道民営化が最終段階も最終段階まで来ています。
先月7月5日に宮城県で上下水道と工業用水の水道事業の運営権を民間に売却する「宮城型管理運営方式」が可決されました。
・いつから事業を開始する?
・民間企業はどういった会社が利用できる?
このような疑問にお答えしていきたいと思います。
日本で県単位で初、「みやぎ型管理運営方式」とは?
冒頭でも述べましたが、宮城県で上下水道と工業用水の水道事業の運営権を民間に売却する「宮城型管理運営方式」が可決されました。
「みやぎ型管理運営方式」を説明する前に、水道法改正について少しだけ書きますね。2018年に水道法が一部改正されました。
これは簡単にいえば、以前は、地方公共団体(いわゆる公営)が管理していた水道事業を民間企業に委託するのに「水道事業の認可を返上」して、「民間企業が新たに再認可」することが必要でした。
改正後は、地方公共団体が水道事業者としての位置付けをしつつ、運営を民間企業に任せることが許可されたのです。
水道法改正以前 | 水道事業を民間企業に委託するのに「水道事業の認可を返上」して、「民間企業が新たに再認可」することが必要 |
水道法改正後 | 地方公共団体が水道事業者としての位置付けをしつつ、運営を民間企業に任せることが許可 |
これを活用したのが、「みやぎ型管理運営方式」でして、
公営の位置付けを変えないで、民間と連携して運営していくスタイル
ということになります。(これを「コンセッション方式」とも言います。)
実は日本で県単位では初となる「水道民営化」でして、一部の民営化という形では、愛媛県松山市で浄水場の保守業務を民間に委託しています。
松山市では、民間事業者のノウハウを活用し、コスト削減とお客様サービスの向上を図るため、平成16年4月から浄水場や水源地などの運転・保守点検等の業務を民間委託しています。
これは、水道事業の運営そのものを民間に委託するものではなく、日常的な浄水場の運転管理や水道施設の点検等の業務を委託するものです。引用:松山市ホームページ
まぁ、この話はのちの2012年に水道事業がフランスの有名な水事業会社に松山市の浄水場の運転業務を依頼するという外資系企業が単独で日本の自治体の水道業務を受託する初の事例いなっていくんですね。
水道民営化「みやぎ型」にして公営業務はどのようにかわるのか?
で話を戻すと、宮城県自体も浄水場や処理場の運転管理は以前(30年くらい前)には民間委託している背景もありまして、
今回の「みやぎ型」で変わる業務的に変わるところは、
「薬品・資材等の調達」
「設備の修繕・更新工事」
「動力費等の負担」
などであり、「水道法に基づく水質検査」、「管路の維持管理」などの業務は県が担うということです。
そもそも、この水道民営化の理由は、「施設の運転経費や薬品・資材の調達経費及び設備等の更新工事費のコスト削減」が大いに含まれています。
「みやぎ型管理運営方式」では,上工下水一体化によるスケールメリットの発現や,民間事業者の 創意工夫により,施設の運転経費や薬品・資材の調達経費及び設備等の更新工事費など,トータルコ ストを削減(※)し,20年間で総事業費から約250億円以上のコスト削減を行い,そのうち民間 事業者には安心・安全を大前提として,200億円以上の費用削減を条件とし競争してもらいます。
こんな感じで宮城県のメリットとして公式サイト(宮城県ホームページだけど)にも書かれていますし、この要素を民間化して公営もコスト削減に力を入れざる言えないという視野も思い浮かびますが、県のメリットではあるようですね。
民間企業はどんな企業が入っているの?
民間企業はどんな企業が入っているのかも気になります。宮城県のホームページで調べてみると、
優先交渉権者 | メタウォーターグループ |
次点交渉権者 | みやぎアクアイノベーション |
となっています。うーん、ちょっとよくわからない。。
優先交渉権とは「売り手が買い手に与え他に優先して交渉する権利」で他の買い手より優先して交渉する権利を与えるというもの。
なので「メタウォーター」という会社は交渉に有利な権利をもっているということでしょうか。
ちなみに「メタウォーター」は国内最大手の水処理企業で日本企業です。
「メタウォーターグループ」は
・メタウォーター(株)
・メタウォーターサービス(株)
・ヴェオリア・ジェネッツ(株)
・オリックス(株)
・(株)日立製作所
・東急建設(株)
・(株)日水コン
・(株)複建技術コンサルタント
・産電工業(株)
・(株)橋本店
をコンソーシアム構成(共同事業体)としています。
水道民営化「みやぎ型」いつから事業を開始する?
「みやぎ型管理運営方式」は、22年4月に民営化として事業化される予定です。
先述のとおり、優先交渉権者は「メタウォーターグループ」に決定しまして、これは民営化としての流れの一部であるということですね。
この後、全国に水道民営化が広がる可能性も?
まぁ、あるのではないでしょうか。
そのための水道法改正なのだと思いますし。
そもそも、麻生大臣も数年前に「水道はすべて国営もしくは市営・町営でできていて、こういったものをすべて民営化します。」という発言もしています。
「完全に民営化していない」、「権利は公営にある」という位置付けがあるので、海外のような水道料金の高騰はモデルにならないということも言われていますが、住民としては民営化で競争が生まれること自体が不安要素だと感じますけどもね。
それ以外にも民営化で日本で利益が回らないというリスクも向上する可能性も広がるわけですし、良いことばかりではないのかなとも思えます。あくまで個人的な意見ではなりますのでここは参考程度に。