突然ですが、日本の派遣会社は多すぎるって知っていましたか?
近年、派遣労働者が増加傾向にあると言われている日本ですが、
それに加えて派遣会社の数も世界から比べても多いんです。
というか、とてつもなく多いんです。
今回は日本の派遣会社の数を世界の国と比較した内容がすごかったので、なぜそんなに多いのかを自分の解釈も加えて考えて見ました。
日本と世界の派遣会社を比較してみる
データは若干古いのですが、2006年の派遣業者数の比較を見ていきます。
出典:労働政策研究・研修機構
圧倒的にぶっちぎりで日本の派遣業者数が1位ですよね。
2位のアメリカと比較しても3倍の差がひらけています。
7年前に当たる2014年の派遣業者数は約70000社に及ぶと言います。
なぜ日本はこんなに派遣事業数が多いのか?
この圧倒的な事業数がある日本ですが、なぜこんなに多いのか?
ということですよね。
その理由はネットで調べれば色々出でくるのですが、
個人的に共感したのは下記の内容でした。
○派遣法の改正(1999年、2015年)
○採用する企業側はトータル的に人件費(ランニングコスト)を下げることができる
○派遣会社側の運営が比較的簡単だと言われている
それぞれを詳しくみていきます。
○派遣法の改正(1999年・2015年)
派遣法が成立したのは1985年でした。
この当時は専門の13業務しか派遣を認められていませんでした。
ですが1999年、今から約20年前に派遣法が改正され対象業務が原則自由化することになりました。
この自由化により多く企業がコストダウンを目的に派遣契約を結ぶようになり派遣労働者は増加していきました。
現在では、日本の労働者の男性は約2割、女性は約3割が派遣を含む非正社員雇用というデータも出ています。
さらに2015年の派遣改正により、もともと2種類あった一般派遣(登録して仕事がある時に派遣される)と特定派遣(派遣先に常勤して労働する)の区別が廃止されます。
また同改正により、専門業種(この時は28専門業主に増えている)と一般業種の期間制限が同一にの「3年原則(延長可能)」に変更されます。
これにより、一般業種でも3年ごとの更新が可能になってしまい、
正社員雇用よりもコストダウンできる派遣社員の受け入れが増加したと言われています。
そして2020年には「同一労働同一賃金」を目的とした派遣改正が行われました。
内容はこれまであったとされる正規労働者と非正規労働者の間の、不合理な待遇差の解消で、具体的に言えば
・職務の内容
・人材活動の運用
この2点を比較して、賃金、教育、福利厚生の待遇措置を設けるなどです。
派遣労働者からすると、さらに働きやすい労働環境になる(福利厚生や賃金面で)改正なのではと思います。
○採用する企業側はトータル的に人件費(ランニングコスト)を下げることができる
上記でも少し触れていますが、派遣社員を採用すると、正社員よりも人件費をコストダウンできることが企業側の利点とも言えます。
日本の正社員雇用は基本的に「終身雇用」なのは、近年それが変わり始めたと言われていますが、まだまだ実際はささやかれています。
正社員の代名詞?とも言える地方公務員の倍率(2020年で倍率が4倍とかです)を考えれば、そう思いますよね。
ちなみに国家公務員の倍率は19.5倍!
「終身雇用」は、企業側からすると解雇などは基本できないので、コスト(人件費)を払い続けることになります。
派遣の場合は、契約更新をしなければ良いだけで、その場でコストカットをすることが可能です。
また正社員にかかる「給与」、「昇格」を派遣社員には基本的には発生しないので、そのままカットできます。(2020年の改正で多少の事情が変わっている可能性もありますが。)
経営が傾いても、すぐにコストカットできる労働力と考えれば派遣社員はコストダウンになる人材なんですよね。
○派遣会社側の運営が比較的簡単だと言われている
さらに派遣の運営側を除いてみると比較的簡単に運営ができる点も派遣事業が増えた要因の1つではないかと考えます。
運営や経営については全然詳しくないので、Yahoo!知恵袋のアンサーを引用させていただきます。
他の方も仰ってる通り、開業・運営が簡単だからです。
派遣業には「一般派遣業」(登録しといて仕事が発生した時だけ働くもの)と「特定派遣業」(派遣元の常勤労働者になってあちこちに派遣されるもの」がありますが、特定派遣に至っては、いくつかの書類を提出して審査に通るだけでスタートできちゃいます。商品が「人」なので、元手も設備もいりません。
また、運営していくのも、一回スタッフが働き出してさえくれれば、基本的には最低限の労務管理しかしなくていいので、他の業種に比べたら楽だとは思います。
引用:ヤフー知恵袋
2015年の改正前の内容のために「一般」と「特定」を廃止されていませんが、
15年近く派遣社員の割合が大きく変化しないことなどでこの要因を考えました。
「人が商品」という点は、数年前まで正社員雇用で派遣される会社に勤めていた上司から言われていた言葉なので、確かになと納得もしました。
まとめ
日本の派遣会社(事業)が世界で飛びぬえて多い理由について見ていきました。
まとめると
○派遣法の改正(1999年、2015年)
○採用する企業側はトータル的に人件費(ランニングコスト)を下げることができる
○派遣会社側の運営が比較的簡単だと言われている
このような理由を考えました。
2020年の派遣法の改正で「同一労働同一賃金」が唱えられています。
実際はどうなのかわかりませんが、この先にも派遣労働者は増え続けることを想定したような改正なのかなとも思えます。
その分、正社員の雇用が難しくなっていることも問題になりつつあるのではないかと考えてしまいます。