先日BBCニュースでこんな記事を見つけました。
アメリカのジョー・バイデン大統領は、同国が支援する「より良い世界再建」(B3W、Build Back Better World)構想について、中国の一帯一路に代わる、より質の高いものにしたいと述べた。
世界への影響力を増す中国の広域経済圏構想「一帯一路」の対抗として、発展途上国に「価値観に基づいた、高水準で透明性のある」パートナーシップを提供するということを述べ、インフラ支援構想に合意しました。
この記事では、
・「一帯一路」政策とそれに対立した構想とは?
・「一帯一路」はどんな政策でどんな影響が懸念されるのか?
・G7が途上国へのインフラ支援を構想している目的とは?
このような疑問についてみていきたいと思います。
中国「一帯一路」とそれに対立したG7の新構想とは?
中国は2014年に「シルクロード経済ベルト」構築を提唱しました。
中国から欧州にかけてのユーラシア大陸の陸路と東南アジア、南アジア、アラビア半島、アフリカ東岸を結ぶ海路をインフラ設備、資金の促進をするという計画です。
資金の投資は史上最大であり、発展途上国へのインフラ投資や経済援助を目的としたもので、中国建国100周年である、2049年までに完成をするのが目的です。
その一方で、イギリスで行われたG7(主要7カ国首脳会議)では「価値観に基づいた、高水準で透明性のある」パートナーシップを提供するというコンセプトに世界的なインフラ計画を構想することをアメリカのバイデン大統領は述べています。
中国「一帯一路」はどんな政策でどんな影響が懸念されるのか?
先述した通り、中国は2014年に「シルクロード経済ベルト」構築を提唱しました。
この構想で、中国は発展途上国に何十億ドルもの資金を投入しており、その額は史上最大の規模と言われています。
特徴として、発展途上国の経済支援以外にも、海上航路のインフラ整備を準備するということです。
海上には、大平洋ルートと共に、「北極海航路」が含まれています。これは「海上シルクロード」と呼ばれており、日本海側からロシア、アラスカを進行して欧州へ向かうというヨーロッパとアジアを結ぶ最短航路でもあります。
温暖化の影響で北極の氷が溶け始めていることで航行可能な期間が長くなっているのが現状です。
これは一帯一路が実現するとされる2049年には航行可能な期間はさらに長くなっていると予想します。
しかし「一帯一路」構想は問題点も抱えていると言われています。
その問題点とは、発展途上国が中国に融資を受けても、莫大な債務を発展途上国が負わされてしまうということです。
そして発展途上国の土地を代わりに取り上げられることだと言われています。
実際に陸路ルートの要である「鉄道網の整備」は欧州までの東南アジアに鉄道路線を建設しています。一帯一路のウィキペディアではこのように書かれていました。
韓国紙『国民日報』によると、中国の利益優先主義が背後にあることによって、中国の銀行から事業へ融資契約をしなければならないため透明性がなく、施工まで中国企業が行うために、中国にますます借金を負う仕組みになっている
また、一帯一路は経済構想としての反面、軍事拠点しして検討をしている国もあるとして軍事目的のために利用することへの危険性もあるとの指摘もあります。
G7が途上国へのインフラ支援を構想している目的
一方で、今回のG7が合意したインフラ支援構想はどういったものなのでしょうか?
アメリカのジョー・バイデン大統領は、
「より良い世界再建」(B3W、Build Back Better World)構想について、中国の一帯一路に代わる、より質の高いものにしたい
と述べています。
東京新聞の記事によると、
40兆ドル(約4300兆円)にのぼる途上国のインフラ需要に対し、国際金融機関を通じて民間企業の資金も活用しながら開発を支援する。インフラは地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」で定めた目標に沿った環境配慮型とし、資金提供に伴う汚職を防ぐための仕組みも盛り込む。
引用:東京新聞
ということが書いてあり、インフラ整備は環境配慮型、そして資金提供の汚職を防ぐと記述もあるので、クリーンな資金提供をしていくことになりそうです。
メディアやネットでは、これらの主要7カ国の構想は、中国の一帯一路に対する影響を抑制するための対抗策という考えが多く語られています。