米国務省は24日、日本の新型コロナウイルス感染状況を理由に渡航中止を勧告しました。
渡米中止勧告は、米国渡米警告レベルで最大である「レベル4」です。
アメリカの渡航警戒レベル | 内容 |
レベル4 | 渡航中止勧告 |
レベル3 | 渡航の再検討 |
レベル2 | 注意を強化 |
レベル1 | 通常の事前注意 |
これまではその下である「レベル3」にありましたが、上にレベルを引き上げて本格的に渡米中止になりました。
しかし感染数が増えているといっても世界的にみれば、感染が抑制されている日本になぜ渡航中止勧告が出されたのでしょうか?
この記事では、その疑問を焦点にしてみていきたいと思います。
日本でワクチンが進まない2つの理由
日本のワクチン接種はどのくらい進んでいるのか?2021円5月13日のフォーブスジャパンの記事によれば、
1回のワクチン接種を受けた人は全体のわずか2.8%、2回のワクチン接種を受けた人は1%に過ぎない
と記述されていました。
これは先進国では、もっともワクチン普及が遅れていると言われています。
アメリカでは3億人いる人口の中の1億6千万人以上が少なくとも1回受けている状態です。
ではなぜ、日本でワクチン接種が進まないのか。それには少なくとも2つの理由が考えられます。
・ワクチンへの信頼度が世界から見ても最も低い
・ワクチンが国内で生産されずらい環境にある
ワクチンへの信頼度が世界から見ても最も低い
日本人はワクチンへの信頼が低い国だと言われています。
これは過去の歴史から紐解くことができます。
日本では、1970年代初頭に、天然痘などのワクチンによる副作用をめぐる集団訴訟が多発しました。
1980〜1990年代初頭には、はしか、おたふくかぜ、風疹のワクチンを予防接種で受けた子供に副作用が起き、予防接種騒動が再燃しました。
その後、これらのワクチンの義務接種は中止になり「任意」に切り替わりました。
このような騒動で国民のワクチンへの信頼性は低いまま止まりました。
それと同時に政府側も「国民の訴訟」に対してワクチンの積極性を高めるこができないままになり日本のワクチン制度は20年間近く進まなかったという意見もあります。
ワクチンが国内で生産されずらい環境にある
国内製造をすることが難しいのもワクチン普及が遅い原因といえます。
ニューヨークワークス(日本版)の過去記事に興味深い文章が載せられていたので紹介します。
まず、「技術大国」の日本でなぜ自前のワクチンが製造できないのか。答えは、ワクチンの開発と製造は、その手間と費用の割には、厚生労働省の承認を取れなかったり、感染の流行がすぐ終わってしまったりと、リスクが大き過ぎる。(中略)
筆者は、新薬を日本に売り込む仕事をしているアメリカ人の話を聞いたことがある。日本では役人の力が強く審査過程が不透明、欧米に比べて不合理なほど長い時間がかかる、ということだった。
それがコロナ禍で、日本政府は外国企業にワクチンをお願いする立場に「落ちた」。
日本でワクチン製造をする場合、厚生省を承認が厳しいということ、費用の手間を考えるとリスクが大きいということで製造されないということでしょうか。
また、輸入に関しても審査が特に厳しく不透明なものも多いのだと言います。
アメリカが渡航中止にした理由
では、アメリカは日本への渡航中止にした理由を見ていきます。
・ワクチン接種の遅れ
・渡航者がワクチン接種した人でも変異株が感染するリスクも
上記のような理由があると考えられています。
先述した通り、アメリカでのワクチン接種は1億6千万人であり、必要な接種をした人は39%になります。
一方、日本は5月中旬の段階で2.8%です。
また、渡航者がワクチン接種した人でも変異株が感染するリスクも指摘されています。
特にオリンピックが開催される場合、選手や関係者などが入国することは必須になる環境では変異株が確認されることも可能性としては考えられるのではないかと思います。
ちなみにアメリカの発表では「オリンピック選手派遣方針は変えず、渡航中止勧告とは別枠で、選手団を派遣する方針を維持する」と明言しています。
感想
個人的な感想は、変異株の感染リスクと日本のワクチン接種の遅れでの渡航中止は、普通の判断なのかなと感じました。
日本は世界から見たら感染率が低いとはいえ、国民の97%はワクチン接種をしていないことになりますし。
もし自身の渡航先が未知のウイルスの感染リスクがあり、その免疫が自分にあったとしても地元の人の大半にそれがなかったら、やっぱり躊躇してしまうと思います。