就職・仕事

 日本の「非正規雇用」、その歴史は江戸時代には当たり前だった?

日本の労働力は、非正規雇用が増加しており、数十前のような正社員の「終身雇用」「年功序列」「副業禁止」などが減少している印象を受けます。

しかしながら、非正規社員は「安定しない」、「将来不安」といった要素が目立つこともしばしばですよね。

では、増加傾向にある「非正規社員」とはいつから誕生しているのでしょうか?

日本における「非正規社員」の歴史を紐解いてみようと思います。

日本の「非正規雇用」はいつから始まったのか?

では、日本で「非正規雇用」はいつから行われていたのでしょうか?

「非正規雇用」=「短期的な不安定な雇用形態」として進めていくことにします。

これは、正社員の概念があったとされる明治時代よりも、さらに前に遡ります。

実は先述で長期雇用(要するに正社員)は明治時代からその概念はあったといいましたが、

江戸時代後期(いわば幕末らへん)には、ほんの一部の層の「大店」には年功序列の雇用がありました。

これは「子飼い」と呼ばれる、未熟なうちから手元において、面倒をみて育て、そのまま元服(当時は15~17歳くらいで大人の仲間入り)のちに昇進していくシステムがあったと言われてます。
(今でいう中途採用は2%程度だったとか)

しかしこれは先ほど述べたように、ほんの一部でした。

大半は各スタイルの仕事で「短期・日雇い・自営」をしており、さらに雑業でいろんなこと1日にして生活している人もいました。

江戸の市内に限定した場合でも「蕎麦屋」「酒屋」「飛脚(現在でいう配送業)」「瓦版屋(現代でいうライター、記者)」など様々な仕事があり、

それとは別に困ったことを聞き歩いて解決する「便利屋」をしている人もいたようです。

(便利屋の仕事は朝にすることが多いので「朝飯前」という言葉だできたとか。)

この労働は一般的に「短期・日雇い・自営」になることもあり今の価値観では不安定という位置付けです。

しかしこの当時、日本の総人口(約3200万人)のうち85%が百姓(農業)であり「士農工商」の身分制度が厳しかった時代でもあったことから、

むしろ「短期・日雇い・自営」が市民の当たり前の生活であったのではないかと個人的に思います。

よく「江戸っ子は宵越しの金は持たない」なんていいますが、労働環境も不安定であったので「持てなかった」ということも大いに考えられるのではないかと思います。

しかし、それでも江戸時代に方々は趣味や子供の育成にとても熱心で楽しんでいたといいます。

江戸時代は雑務で一人前になるまでの過程が想像以上だった

江戸時代で一人前の職人になるにはどんな過程を経ていくのかをみていくと現代の価値観にない(失った?)ものがあるので面白いです。

「大工」を例にとってみていきます。

まず、組織という会社のようなものは一部しかなく、ほとんどが自営です。

次男坊は(長男は家を継ぐ)12歳くらいになると「奉公」に出ます。この場合いは、大工の仕事を奉公先として、頭首の元にいきます。

もちろん通いではなく、住み込みです。この時代、「奉公」は「1人前の人間になるための修行」という概念があり、人間性を磨くことになるので、育てられた人からすると第2の家族のような存在になります。

この時点では、「弟子」の状態ですらなくまだ弟子にも認定されていない状態です。給料は当然ありません(衣食住はあり)。この期間が7年程度続き、心身ともに成長されてもらいます。

その後、お礼としてさらに1年間を給料なしで「奉公 」して、ようやく独立して「弟子」となり職人と呼ばれるようになるのです。

現在の感覚でいえば、12歳って小6ですし、8年間はタダ働きです。

( ・∇・)

インターネットが普及して、個人で稼げるのは当たり前のような環境で育った「Z世代・a(アルファ)世代」の方々からすれば「何意味ないことているの?」という感覚かもしれませんね。笑

ですが、江戸時代のこうした習慣や働き方は、当時の人々の「多様性」、「礼儀作法」、「感謝・お礼」、「尊敬や師弟関係(今で言うメンターかな)」などに人間性を培う意味ではとても重要なものでした。

日本の「正社員の雇用形態」って「奉公」と似てる?

日本の「正社員の雇用形態」に数十年の風潮としてあった、「正社員の雇用形態」って、「会社と正社員の関係性」が江戸時代の「奉公と奉公先の頭首」に似ているのかなと思いました。

根強く日本にあった「正社員の雇用形態」(今でもあるけども)は日本人の習慣というか文化というかそういうものに受け入れられ、普及した側面もあったのかもしれません。

海外の雇用状況を色々みても、基本的には「ジョブ型雇用」ですし、転職を後ろめたいことと考えるよりも、むしろ「経験としてのキャリア」と考える風潮が強いですからね。
これが「ジョブ型雇用」の特徴でもありますが。

まとめ

日本での「非正規雇用」の歴史を見ていきました。

「非正規雇用」の名称自体は1980年代にできたわけですが、戦前、もっといえば江戸時代の大半の一般市民は「非正規雇用」の概念化で働いていたことがわかりました。

それでも、「自由に人のために役立つことをして」、「趣味に没頭して楽しんで」、「宵越しの金は持たない」(全員がそうであったわけではないと思うけど)、

そういった生き方を幸せにやっていたことを見ていると、「非正規雇用」に多方面からいろんな概念が湧いてくる感じです。

歴史を学ぶって面白いですね。

興味あれば、「正社員」の歴史も合わせて見てみれば面白いのでぜひどうぞ。↓